死亡推定時刻
2012年05月07日
山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。少女は死体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。
大分前から本屋で探してたけど、どこも古いのしか置いてないので仕方が無くブックオフで買った本。
法曹関係の仕事が本職らしい作者が書く、冤罪事件のリアリティあふれるミステリ。
正直これをミステリと言って良いのかは分からないけど、読み物としては非常に面白い。
ミステリとして見ると、「犯人は誰か」っていう点については、大体の答えを書いてはいるものの、
「この人が犯人でした」的な種明かしはしない。
そう言う意味では、ミステリの意外性は殆ど無い。
この本の魅力は何と言ってもリアリティだと思う。
冤罪で死刑判決を食らった青年を救うべく奮闘する一人の弁護士を見事に描いてる。
調書を取るシーンなんか、実際に警察がやってそうな感じの自白強要。
冤罪撲滅の立場ではあるけれど、冤罪が発生するメカニズムにも触れていて、納得は行かないけれど少しだけ納得させられる部分もあったりする。
話の流れは、
事件発生→捜査→1審→控訴→2審
といった感じ。
メインは、1審の判決が終わってからラストまで。
最後がどうなるのか気になりながら読み進める形。
肝心のラストは、正直、ちょっと残念。
綺麗な終わり方ではあるけど、現実味を帯びすぎていて、ちょっと期待しすぎた部分でがっかりさせられるかも。
最後の最後までリアリティを求める作者の姿勢が伝わってきて、凄く良いんだけど、やっぱり読者としては期待しちゃう部分があって、なんかこうやるせない何かがある。
評価:★★★★☆ 4.5
満点は付け難いけど、かなり満足出来る1冊。
法律関係と言えば、第一級殺人弁護が結構似てるかも。
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