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秋期限定栗きんとん事件 上 下

2010年12月09日

あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。

ぼくは思わず苦笑する。去年の夏休みに別れたというのに、何だかまた、小佐内さんと向き合っているような気がする。ぼくと小佐内さんの間にあるのが、極上の甘いものをのせた皿か、連続放火事件かという違いはあるけれど…ほんの少しずつ、しかし確実にエスカレートしてゆく連続放火事件に対し、ついに小鳩君は本格的に推理を巡らし始める。小鳩君と小佐内さんの再会はいつ―。

上下巻構成なのでまとめて書きますよ。

前巻の「夏期限定」で別れた小鳩君と小山内さん。
今巻ではそれぞれが別の人と付き合う形になった。
それぞれ別の道を進みつつ、裏では何らかの繋がりが合ったり無かったりする。

話の流れは、小鳩君と新キャラの瓜野君が交互に話を進めていく感じ。
正直、瓜野君は若干ウザキャラだったけど、下巻で綺麗に始末されてるので読後感良し。

上巻では小鳩君と仲丸さんのデートでのちょっとした謎解きがあるけど、正直あれは不要だった。
上下巻通してメインは1つの事件なんだし、小話は除いて1巻でまとめた方がスッキリしたと思う。

「小市民」シリーズでありながら、もはや小市民ではなくなった小鳩君と小山内さん。
というかそもそも小市民を目指しているだけで、全然小市民になりきれていなかった。
そんな二人のやりとりが読んでて面白い。
二人のやりとりが面白いと言えば、わっちとロレンスが思い浮かぶ。
あっちとは立場が違うけれど、小山内さんもなかなかのやり手で良い感じだ。

二人の中が戻ったというか、以前よりも進展したところで、次巻がラストになるのかな?
冬期限定に期待したい。

評価:★★★★☆ 4.5

ところで、このシリーズに付いてくる解説は、なにか他の小説と違う感じがする。
春期限定の解説はかなり酷かった様な記憶がある。
創元推理文庫の解説はこういう感じなのかな?


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